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カタログスペックの半分でいい!?エアコンの定格電力を真剣に計算してみた。【マンション編】

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カタログスペックの半分でいい!?エアコンの定格電力を真剣に計算してみた。【マンション編】

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エアコンの大きさを決めるにあたって、様々なサイトが

・カタログ値は昔の無断熱の住宅での値だ!
・カタログ値で決めると過剰能力になる!

と書かれていますが、じゃあ実際にどの大きさのエアコンを選べばいいのかは書いておらず、、、、結局カタログ通りに買うことになってしまいます。。

そこで今回は、理系出身として、

エアコンの本当に必要な定格をきちんと計算して求めて、決定していきたいと思います!

エアコンの定格出力を決めるのは、熱の出入りがどうなっているか?

エアコンの定格出力を決めるためには、

①立ち上がり時に室温を下げるために、どれくらいのパワーが必要か?
②その温度を維持し続けるためには、どれくらいのパワーが必要か?

を求めて、それに見合うパワーがエアコンに備わっているかを見る必要があります。

最終的には、計算機を作成しようと思いますが、例題が無いとわかりにくいので、今回は、

・16畳のリビング
・中住戸のマンション
・外気温が35℃
・設定温度25℃

の場合について、計算式を組み立てていこうと思います。

①立ち上がり時のパワーについて

まずは、立ち上がり時のパワーについてみていきたいと思います。

立ち上がり時に必要なエネルギーは、言い換えると、

・室内の空気を設定温度まで下げるエネルギーを求める

ことになります。

ですので、まず、室内の空気について考えていきましょう。
16畳のリビングの場合、天井の高さを2.2mとすると、

16畳 × 1..65m2/畳 × 2.2m =58.1m3

の容積となります。空気の密度は、25℃で1.18kg/m3ですので、空気の重さは

58.1m3 × 1.18kg/m3 = 68.6kg

となります。空気を1度冷やすために必要なエネルギー(比熱)は1.009J/kg*℃ですので、15畳のリビングの空気を1度冷やすためには、

68.6kg × 1.009J/kg*℃ = 69,217J/℃ = 19.2Wh/℃

のエネルギーが必要となります。
今回は、35℃→25℃まで冷やす必要がありますので、

19.2Wh/℃ × (35-25)℃ = 192Wh

のエネルギーが必要であることが分かりました。

192Whとはエネルギーの総量を表し、

エネルギー総量 = 出力 × 時間

となりますので、時間と、出力の関係は、

192Wh = 192Wの出力 × 1時間
192Wh = 384Wの出力 × 30分
192Wh = 576Wの出力 × 20分
192Wh = 1152Wの出力 × 10分
※出力が大きければ短くなる。

となります。よって、10分で設定温度まで下げたいと考えると、1.1kWの出力が必要であることがわかりました。

15畳のカタログ値の定格出力は、5.0kWとなっていますので、かなり過剰であることがわかります。

しかし、室内の温度を下げている最中にもどんどん冷気が外に逃げていってしまいますので、その計算も考慮に入れないといけません。

②温度を維持し続けるのパワーについて

ということで、温度を維持し続けるためのパワーがどれくらい必要か確認していきたいと思います。

エアコンでせっかく室温を下げても、熱は様々なところから侵入してきますので、同等のパワーでエアコンを動かし続けないと室内の温度は上がってしまいます。

では、熱の侵入にはどのような種類があるのでしょうか?それは、大きく分けて3つ。

①天井や床、壁から侵入してくる熱
②日光に照らされることにより侵入してくる熱。
③人の発熱により侵入してくる熱

です。これらの総量を確認することで、それを打ち消すエアコンのパワーを求めることができます。

それでは、①から見ていきましょう。

①天井と床、壁から侵入してくる熱

まずは、天井、床、壁から侵入してくる熱です。

当たり前ですが、外が35℃、室内が25℃の場合、壁づたいに熱が室内に侵入してきます。

イメージしてもらえばわかりやすいと思いますが、この熱は

・面積が大きいほど大きい
・温度差が大きいほど大きい
・断熱性能がいいほど小さい

ことになります。これを式で表すと、

侵入してくる熱=面積×温度差÷断熱性能

となり、U値 = 1/断熱性能 だとすると、

侵入してくる熱=面積×温度差×U値

となります。
ここでU値とは、熱貫流率(U値)(W/m2・K) といい、各部材によって決まっています。この値が小さいほど断熱性能が優れることになります。
※部材毎のU値はこのサイトを参照してください。

では、この計算式を使って、壁から侵入してくる熱を計算していきたいと思います。

天井と床

まずは、天井と床から侵入してくる熱について考えていましょう。

・天井と床の面積は、部屋の大きさで決まりますので、

 16 × 1.65 =26.4m2

 となります。

・室内と室外の温度差は、今回は中住戸を想定していますので、上下階に部屋があり、そことの温度差を求める必要があります。上下階とも同様にエアコンをつけていてくれたら温度差は0ですが、今回は上下階ともお出かけをしていることを想定し、外の温度と同様の35℃と仮定します。よって、

35℃ - 25℃ = 10℃

が温度差になります。

・U値はとしては、上下階ともある程度の断熱をしていると仮定して、1.0W/m2℃としておきます。

結果として、床、天井から侵入してくる熱は、

26.4×10×1.0=264W

となります。天井と床合計で528Wですね。

壁から侵入してくる熱

次は壁から侵入してくる熱についてです。

中住戸のリビングとして、南向きに大きな窓、東西は隣室、北はそのほかの部屋とします。

・面積は、2:1の長方形(長辺に窓)とすると、

 南向き(窓がある面) 7.26m × 天井2.2m = 16m2
 東西(隣室と接する面) 3.63 × 2.2 = 8m2
 北向き(室内と接する面) 7.26 × =16

となります。

・温度差は、隣室、室内共に冷房無し、外の温度と同等として計算します。+10℃

・U値ですが、

外と面している南向きは、U=0.4W/m2℃
隣室と接している面は U=1.0W/m2℃
室内と接する面は U=2.0W/m2℃

として計算してみます。

すると、

・南 16×10×0.4=64W
・東西 8×10×1.0×2=160W
・室内 16×10×2.0=320W


となり、合計544Wとなります。

窓の影響を考える。

ここで忘れてはいけないのが窓の存在です。
窓は断熱性能が著しく低く、熱が侵入する主要因となっています。

外壁のU値が0.4に対して、普通のガラス窓だと5.9と10倍以上の差があります。

この影響を考えてみましょう。

・リビングに設置してある窓は、1.7m×2.0m程度が標準とされていますので、この窓が2個設置されているとして、面積は

1.7×2.0×2=6.8m2

・温度差は10℃

・U値は、普通の窓ガラスで5.9、2重窓で2前後です。今回は2重窓とします。

すると窓から入ってくる熱は、

6.8×10×(2.0-0.4)=108W

となります。※ダブルカウントを防ぐために外壁の面積分引いています。

天井と床、壁、窓から侵入してくる熱量合計

結果として、天井、床、窓から侵入してくる熱料の合計は、

天井264W+床264W+壁544W+窓108W=1180W

となります。

②日光に照らされることにより侵入してくる熱。

次は、日光に照らされることにより侵入してくる熱です。

日光に照らされることによって侵入してくる熱は、基本的に窓ガラスから入ってきます。

その熱量は、JIS R 3106で500W/m2と規定されておりますが、下の絵の通り、一番暑い8月で南面で330W/m2程度となるようですので、その値で計算していきたいと思います。

すると、

330×6.8=2244W

と強烈な数字になります。しかし実際には下記画像の通り、実際に入ってくる熱量は、ひさしによって60%程度抑えられるとして、

2244W × (100-60)% =900W

と計算することができます。

自立循環型住宅

2重窓の場合、侵入率(日射取得率)は40%ほどカットできますので、

900W × (100%-40%)=540W

となります。

また、すだれで50%遮れるとして、

540W × (100%-50%) = 270W

となります。
※実際には散乱日射、日光が当たる壁からの熱の侵入などもありますが、今回は除外。

人によるエネルギー

最後に人によるエネルギーです。

人によるエネルギーは、一人100Wと計算されるようです。

今回は、3人としましょう。

3×100W=300W

となります。

全てを足してみると?

では、すべてを足してみると?

1180+270+300=1750W

となりました。

実際には、湿度も下げていく必要があり、その分のエネルギーも必要とされておりますので、顕熱比0.7で割ってあげると、

1750/0.7=2500W必要=2.5kW必要

ということがわかりました。

必要な出力は?

ということで、必要な出力は、

起動時、部屋の温度を下げに行くとき

・10分で冷やすためのパワー 1.1kW
・温度を一定に保つためのパワー 2.5kW 合計3.6kWとなります。

また、その後、温度を一定に保つだけであれば、

・温度を一定に保つためのパワー 2.5kW だけでいいことになります。

ここでやっとカタログ登場

ここまで計算して、やっとカタログが登場します。

カタログの冷房能力と畳数の対応表を見ると、16畳で、定格5.0kW必要なことになります。しかし、実際は、先ほどの計算で定格で2.5kWで十分なことが分かりました。

畳数6畳8畳10畳12畳14畳16畳18畳20畳23畳26畳
冷房
能力
2.2kW2.5kW2.8kW3.6kW4.5kW5.0kW5.6kW6.3kW7.1kW8.0kW

2.5kWとなると8畳用で十分ということになります。

ここで、実際の製品のカタログを見てみましょう。機種はダイキンのRISORAです。
定格は2.5kW、最大出力は3.1kWであることが分かります。
2.4kWは温度を平衡に保つために必要でしたので、0.7kW余裕を持っていることになります。

温度を35度→25度まで下げるために必要なエネルギーは、192Wh でしたので、この余裕分を考慮に入れて、192Wh/700=0.27時間=16分 で設定温度まで下がることになります。

少し余裕を持たせて10畳のものを選ぶとすると、最大出力は、3.3kWのようですので、同様の計算をすると、192Wh/900=12分で設定温度まで下がることになります。

本体の価格差について

では、このように適正な計算をした場合、どれくらい節約できるかを確認していきます。

下記グラフは、価格.COMにて上記の機種の出力と価格の関係をグラフにしたものです。ご覧の通り、出力と価格は比例しています。

1畳あたり8000円程度の差となっていますので、8畳→16畳の差は64,000円程度あることになります何も考えずに買うとここまで高いエアコンを手にすることだったことなりますね。。

上記の計算を計算機として作成しました。

上記の計算を、計算機にしました。
各種条件を変更することでどのような部屋でも対応することができます。
※計算に大きな漏れはないかと思いますが、特に日射条件で必要な電力は大きく変わってきます。求めた定格容量よりひとつ余裕を持たせた機種を選ぶことをおススメします。

ついでに、電気代も確認してみる。

いろいろな計算をしてきたので、上記の値を使って電気代も計算してみようと思います。

エアコンのすごいところは、

使用した電気のエネルギーの4~7倍もの仕事をすることができることです。
※この仕組みは、少々難しいのですが、大気のエネルギーをうまく利用しています。

これは、カタログを見てもわかります。
能力値2.5kWに対して消費電力は635W=0.635Wとなっていますので、

2.5 ÷ 0.635 = 3.93

と約4倍の仕事をしてくれることがわかります。
これらの計算を通期で行ったのが、右下の『5.9』です。
エアコンだけ使用した場合、5.9には遠く及ばないようです。

では、この値を使って電気代を確認していきましょう。

立ち上がり時の電気代

まずは、立ち上がり時の電気代です。

立ち上がり時は、16分間、最大出力3.1KWで冷やす必要がありました。
この時の消費電力は、910Wとなっています。よって、この間に使用するエネルギーは、

0.910×16/60=0.242kWh

となります。電気単価は25円/kWh程度ですので、

0.242×25≒6円

となります。
その後は、温度を一定に保つために、2.5kWの出力が必要です。
カタログから消費電力を見ると、2.5KW時の電力消費は635Wとなっていますので、

0.635kW × 25円/kWh ≒ 16円/h

と1時間当たり16円程度の電気代となることがわかりました。
もし1日8時間使用したとすると

6 + 16 × 8  =134円

1か月毎日使用したとすると

134 × 30 ≒ 4000円

となります。

高級機を使うと、電気代がどうなるか?

では、次に高級機を使うとどうなるか?
見ていきましょう。

ダイキンの最上位機種RXシリーズのカタログ値です。

定格の時のスペックを見てみると、消費電力500Wで2.5kWの出力を得ることができますので、消費電力の5倍の仕事をしてくれます。

また、最大出力は、3.5kWとなっていますので、起動時に一気に部屋の温度を冷やすことが可能となります。

それではこの条件で電気代を確認していきましょう。

温度を一定に保つためのパワーは2.5KWでしたので、余裕分は1.0KWとなります。
設定温度に下げるためのエネルギーは、192Whでしたので、

19.2Wh / 1000W = 0.192h =11.5分

で、設定温度まで下げることができます。
この時の消費電力は、920Wとなっていますので、

920W × 25円/KWh × 0.192h =4.4円

となります。
その後は、2.5kW定格で動きますので消費電力は500Wとなります。

0.5kW × 25円/kWh =12.5円/h

となります。1日8時間の運転とすると

4.4 + 12.5円/h × 8h = 104円

となります。よって30日間で

104×30=3120円

となります。

普及機と比べると800円/月の値差になります。
8月は800円の差、7月、9月はこの半分の差とすると

800 × (1 + 1/2*2) = 1600円/年

となります。暖房の計算も本当は必要ですが、同様の値差があるとすると、

1600円 ×  2 = 3200円

となります。
エアコンが故障したときに修理するために必要な性能部品の最低保有期間が定められておりその期間を超えると壊れたときに買い替える必要があります(例えば、パナソニックは10年、三菱も10年、シャープは9年)。その期間がおよそ10年ですので、10年間での電気代の差は

10年 × 3200円/年 = 32000円

となります。よって、上位機種との値差が32,000円以内であれば元が取れることになります。

また、上位機種の場合、効率だけではなく、いろいろな機能が付加されていますので、そこも含めて上位機種の購入を検討してもいいかもしれません。

先ほど適正な出力のエアコンを買うことで64,000円安い機種が変えることになりましたので、その分グレードアップしてあげてもいいかもしれませんね!

まとめ

適正なエアコンの出力を計算してみたところ、

自分の部屋の場合「カタログスペックの約半分」の出力のエアコンで十分であることが分かりました。

しかし、その部屋その部屋の条件でまったくもって答えが違ってきます。

ぜひぜひ、エアコンの定格出力の計算機を使って、必要な出力を計算してみてください!!

コメント欄

  1. […] […]

  2. Wow, this post is nice, my younger sister is analyzing these kinds of things, therefore I am going to convey her.

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