溶接の種類と特徴~Tig,MIG,MAG,CO2,セルフシールド
溶接にはさまざま方法があり、非常にややこしいです。
しかも、「英語3文字」のものばかり…
ということで、今回は、アーク溶接の種類と、特徴を動画を使って説明していきたいと思います!!
アーク溶接とは?
まずは、アーク溶接とはなにか?についてざっと説明します。
まず下記動画をご覧ください。アークとは、電位差がある状態で物体を引きはがそうとすると起こる、電気の放電です。動画を見ただけでも恐ろしいのが分かります。。。
このアークが発生する際に、非常に高温になることを利用して、
鉄などを瞬間的に溶かして、くっつけるのがアーク溶接です。
では、次はアーク溶接のスローモーション映像を見てみましょう。
・青色の光が、アークとなっており、
・水たまりのようなものが、アークによって溶かされた鉄です。
・上部の棒は溶けて鉄(水たまり)に吸収されているのが分かります。
この一連の動作を続けて鉄と鉄をくっつけるのが、アーク溶接となります。
アーク溶接の種類
アーク溶接が何たるかが何となくわかったところで、
アーク溶接の種類について、解説していきます。
まずは、先ほどのスローモーションの動画で見た「上部の棒」が、
・溶けるタイプ → 溶極式
・溶けないタイプ → 非溶極式
に分けられます。※先ほどの動画では溶けていたので「溶極式」となります。
ここで、溶けるタイプには、様々な種類があり、
①被覆アーク溶接(ひふく)
②半自動溶接
に分かれ、溶けないタイプは1種類で
③TIG溶接
に分類されます。
厄介な敵、スパッタの存在。
このように様々な分類がありますが、
これらの溶接の使い分けには、「スパッタ」の存在が大きいです。
先ほどから「アークを使って。」といっていますが、
最初の動画で紹介したように、アークはとにかく制御が難しいものです。
アークの形成がうまくいかないと、
下の写真の左のように溶けた鉄が飛び散ったスパッタというものが
発生してしまい、これを除去する必要が出てきます。
では、スパッタのでない方法を選べばいいのではないかと思われると思いますが、
そうなると、
・溶接の速度が遅くなる。
・溶接の機会が高くなる。
などの結果コスト高となります。
よって、試行錯誤の上、様々な溶接の方法が生まれたといってもいいでしょう。
ざっくりと、先ほどの種類と特徴をまとめました。
・綺麗なみためを選ぶと、TIG溶接ですが、遅くて高い。
・とにかく安くしたければ、被覆溶接ですが、かなり汚い。
・半自動溶接は、その間ということになり、使用するガスによってスパッタ量が違ってきます。
項目 | ①被覆アーク溶接 | ②半自動溶接 | ③TIG溶接 |
タイプ | 溶極式 | 溶極式 | 非陽極式 |
材質 | 鉄 | 鉄 | ステンレス |
スパッタ | かなり多い | ノンガス・炭酸ガス→多い 混合ガス→少ない アルゴンガス→かなり少ない | ほぼ無し |
速度 | 早い | 早い | 遅い |
風 | 影響なし | ノンガス→影響なし ガスあり→影響あり | 影響あり |
ガス | 無し | 無し 炭酸ガス 混合ガス アルゴンガス | アルゴンガス |
価格 | 安価 | やや高い | 高い |
消耗品 | 溶接棒 | ・溶接ワイヤー ・ガスあり→ガス | 溶接棒 |
半自動溶接について解説
まずは、半自動溶接から解説します。
半自動溶接とは、上の溶ける棒が自動で送られてくるので、「半自動」と呼ばれており、
アークを安定させるために、使われるガスで
・CO2溶接
・MAG溶接
・MIG溶接
・ノンガス溶接(ワイヤが特殊で、ワイヤ溶けたときにガスが発生してアークを安定させる)
に分類されます。
下記動画はノンガス溶接(フラックスワイヤー)です。
溶接というと、何となく左手に棒を持って、右手に溶かすもの持ってというイメージですが、
実は、片手一本で出来るものとなっています。
スパッタの量は、下記の通り、
CO2溶接 > ノンガス溶接(FCW) > MAG溶接(Ar-CO2) > MIG溶接
となっており、逆に価格は
CO2溶接 < ノンガス溶接(FCW) < MAG溶接(Ar-CO2) < MIG溶接
となります。溶接棒の解説はこのサイトを参照ください。
スローモーションの映像を見ていくと、スパッタの量が違うことが確認できると思います。
CO2溶接
MAG溶接
MIG溶接
TIG溶接
次はTIG溶接です。
TIG溶接は、上の棒が溶けませんので、溶かしている部分に別の棒を添えてあげる必要があります。
上の棒が溶けないので、アークがきれいに出続けているので、スパッタがほぼなく、非常に綺麗です。
半自動とTIG溶接の比較動画
半自動とTIG溶接の比較の動画は下記のとおりです。
・速さは半自動
・綺麗さはTIGになっていることが分かると思います。
まとめ
アーク溶接について、まとめてみました。
アークの原理などなど、そこまで深入りしすぎずに、
一つずつ整理していくと思ったより簡単に理解できると思います。
特に今は動画付きで確認できるのでいい時代になりましたね。
ぜひ、DIYなどで溶接を考えるときはこの記事を参考にしてくださいね!!
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