【動画で解説】溶接冶具とは?クランプとは?冶具費用はどれくらい?
溶接や鋳物の加工などの際に必要になる冶具ですが、
・結構ブラックボックスとなっており、
・見積もりを出してみたら高い!!!
ということがよくあると思います。
そこで今回は、そんな人に向けて、
・まず、冶具とはどのようなものなのか??
・冶具はどのように見積もる必要があるのか?
を解説していきたいと思います。
冶具とは、固定部とクランプの集合体
冶具とは、基本的には、
・固定部とクランプの集合体です。
溶接冶具でよく使われるクランプは下記の通り、レバーを押し引きすることで部品を押さえることができる装置となっています。
これらの装置をうまく組み合わせて、所定の位置に部品を固定するのが、冶具と呼ばれるものです。
下記動画をご覧ください。
クランプを用いて、
・平板→冶具に垂直に溶接した板にクランプで押し付けて固定
・丸棒→V字で切った冶具の上に丸棒を置き、クランプで押し付けて固定
しています。
このように、その形状にあった固定部と、クランプの組み合わせによって冶具ができていることがわかります。
よって、冶具を知るためには、どのようなクランプがあるのかを知るのが一番手っ取り早いことになります。
クランプの種類
では、クランプの種類を確認していきましょう。
ここで言うクランプの種類とは、「油圧クランプ」などの動力源の話ではなく、部品を固定するためにどのような機構があるのかを見ていきます。
基本的には部品を押さえ付ける機構としては、3種類に区別でき、
・垂直方向に押し付けるか(縦押しクランプ)
・水平方向に押し付けるか(横押しクランプ)
・穴を使って押し付けるか(引き込みクランプ)
で分けると考えやすいと思います。
垂直方向に押さえつける、(縦押し)
まずは、垂直方向に押さえつけるクランプになります。
先ほども紹介しましたが、垂直方向に押さえつけるクランプは下記動画のようなものになります。
下の二つの動画の違いは、レバーを倒すと押さえつけるのか、レバーを上げると押さえつけるのかの差となっており、どちらを使用するかは、冶具のスペース、使いやすさによって選びます。
ここで、注目してもらいたいのが、どちらの場合も、
・部品を設置するときに邪魔にならないようにクランプが動いている点です。
固定する位置に最初からクランプがあると部品を横にスライドしていれる必要がありますが、下記の動画のような動きをすれば、単純に溶接板に部品を置く際に邪魔になりません。
下記のクランプで1つ1000円位です。
また、レバーの動き、クランプの動きも、様々なものがあり、
下記動画の場合、回転させることで、フックが旋回して、その後下降し部品を押さえ付けます。
下記のクランプの場合、押し付け力も強いこともあり、2万円弱で売っているようです。
構造としては、溝が切ってありそれに沿って、回りながらオサエルコトガできる機構になっています。
また、スペースが少ない場合は、↓の動画のように、ワンタッチではなく、一度起こしてあげてから押し付ける方法をとることもできます。
水平方向に押し付ける
次は、水平方向に押し付ける方法です。
横押しと縦押しで構造が大きく変わることがありませんが、溶接板を上から見た場合のスペースの取り方が違います。
横押しの場合のほうがスペースを食いますので、溶接冶具の設計の際にはきちんと配置を考える必要があります。
そのほかに、このような機構のものもあります。
穴がある場合
次は穴がある場合です。
基本的に部品を冶具に設置するときには、穴があると便利です。
というのも作業者が穴を基準に部品を簡単に設置することができるからです。
下記の動画の場合、その穴を用いて、溶接板に押し付けています。
引き込み式クランプといわれるタイプになり、クランプピンも別に必要となりますが、非常に簡単に部品を設置することができます。
丸棒、パイプ、異形物を固定するためのクランプ
また、これら以外にも、丸棒などをクランプするための冶具もあります。
ドリルのチャックのような動きをして、ボルトで占めることで、外形や内径をクランプすることができます。
地味な引き立て役、サポーター
丸棒など、置いただけでは転がっていってしまう時に、
必要になるのが、下記のようなサポーターになります。
横向きに置くときには、Vブロック、縦向きに置くときには、円筒の筒のようなものになります。
溶接板(ベース)について
溶接のベースとしては、
一品物であれば、板金の板に、それぞれのクランプを溶接していくことで製造することができます。
が、それだと汎用性もなく、製造にも時間がかかるため、
元々サポートやクランプが設置できるような作業台を使用することができます。
このような作業台とそれに対応したクランプを用いることで簡単にロケーションを変えることができます。
また、その設置についても、ねじ締めだけではなく、ノブやレバーを回すだけのものやなど様々な種類のものがあります。
また、同じような形状をしているけど、位置調整を使用したいなどの用途には、下記のような機構を用いて製造できるようなものもあります。
ということで、冶具の構造を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
動画などを見ることで、イメージが少しはわきやすいかと思います。
では、次は冶具の費用について確認していきましょう。
溶接冶具費
下記の通り、動力源が油圧なのか、手動なのか、エアクランプなのかなどで大きく費用は変わってきますが、
構成部品としては、
・プレート
・クランプ・サポート
・設計代・組立代
となります。
プレートに関しては、
・溶接部品のサイズ → プレートのサイズを選定
・プレートのサイズから重量を算出 → 150円/kg程度で算出すればいいと思います。
※鉄板は定尺材で100円/kg弱。加工費を入れて150円/kgとしています。
下記早見表になります。
また、穴が最初から開いている汎用冶具ベースを使用する場合は、2/3程度で考えてもいいかと思います。
L(mm) | W(mm) | 厚み4.5mm | 厚み6mm | 厚み4.5mm | 厚み6mm |
100 | 100 | 35kg | 47kg | 1万円 | 1万円 |
100 | 200 | 71kg | 94kg | 1万円 | 1万円 |
100 | 300 | 106kg | 141kg | 2万円 | 2万円 |
100 | 400 | 141kg | 188kg | 2万円 | 3万円 |
100 | 500 | 177kg | 236kg | 3万円 | 4万円 |
100 | 600 | 212kg | 283kg | 3万円 | 4万円 |
200 | 200 | 141kg | 188kg | 2万円 | 3万円 |
200 | 300 | 212kg | 283kg | 3万円 | 4万円 |
200 | 400 | 283kg | 377kg | 4万円 | 6万円 |
200 | 500 | 353kg | 471kg | 5万円 | 7万円 |
200 | 600 | 424kg | 565kg | 6万円 | 8万円 |
300 | 300 | 318kg | 424kg | 5万円 | 6万円 |
300 | 400 | 424kg | 565kg | 6万円 | 8万円 |
300 | 500 | 530kg | 707kg | 8万円 | 11万円 |
300 | 600 | 636kg | 848kg | 10万円 | 13万円 |
400 | 400 | 565kg | 754kg | 8万円 | 11万円 |
400 | 500 | 707kg | 942kg | 11万円 | 14万円 |
400 | 600 | 848kg | 1130kg | 13万円 | 17万円 |
500 | 500 | 883kg | 1178kg | 13万円 | 18万円 |
500 | 600 | 1060kg | 1413kg | 16万円 | 21万円 |
600 | 600 | 1272kg | 1696kg | 19万円 | 25万円 |
クランプは、大物を止めるか、小物を止めるかによりますが、
小物で5千円程度、大物で2万円と考えておいていいと思います。
高さ調整にブロックがいる、押し付けるためにアングルがいるなどの場合、その費用も必要になりますので、ざっくり1個5千円位で見積もっておけばいいのかと思います。
※小物、大物の区別は難しいですが、鋳物など力が加わる場合は、押し付け力が必要になりますので、高めに試算しておくことをお勧めします。
組立代、開発費としては、10%~20%程度見ておけばいいかと思います。
高さ方向に物が多く取り付けてある場合は、ブロックの溶接などが必要になりますので、高めに見積もる右必要があります。
上記の例で出したワンタッチクランプの例で確認してみると、
・プレート 300mm×400mm×60mm →8万
・クランプ 6個×2万 → 12万
・組立代 10% → 2万円 合計25万円
程度となり、ある程度的を得た単価になると思います。
まとめ
溶接冶具は非常に奥深くなっておりますが、ある程度のパターンを覚えれば、何となくイメージすることができるようになると思います。
費用に関しても、何となく冶具のイメージができるようにあれば、あとはそのコストを積み上げていくだけですので、あたりをつけることができるようになるのではないでしょうか??
まずは一度現場に行って、確認してみるのが一番ですね!
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