フルマラソンのランナーに太っている人はいません。
練習や本番で大きなカロリーを使うからだとは認識していますが、
実際に体重とフルマラソンのタイムとの関係はどうなるはずか、確認していきたいと思います。
体重とフルマラソンのタイムの関係について
ダイエットを成功させるとフルマラソンのタイムは向上するのか?
という疑問をお持ちの方は多いと思いますが、
基本的に変な痩せ方をしない限り、痩せた分だけ早くなります。
たとえば、70kgの人が60kgになったとして、
元々がフルマラソンのタイムが5時間かかっていた人は
5時間 ÷ 70kg × 60kg = 4.3時間 = 4時間20分と40分短縮できることになります。
要するに痩せた比率だけ、フルマラソンのタイムも早くなるのです。
なぜこのようなことが起こるのかを理論的に考える。
マラソンの世界ではVO2max(ml/kg/min)という指標が良く使われます。
これは、「1kg当たり、1分当たりに最大何mlの酸素を使うことができるか?」を表しています。
そして、フルマラソンを走りきるには、この酸素量の0.7~0.8倍の速度であれば、
疲労がたまらずに走り切れるとされています。
また、効率よく走れているか?を知る指標として、ランニングエコノミーという指標も存在します。
このランニングエコノミーは「1kg当たり、1m当たり、何mlの酸素を使うか」を表し、
O2cost(ml/kg/m)であらわされます。
この2つの指標は(ml/kg)の項は一致しており、割り算をすることで打ち消し合い、
フルマラソンの理想的な速度を求めることができます。
Videal(m/min) = {VO2max(ml/kg/min) × 75%} ÷ O2cost(ml/kg/m)
O2costに関しては、ランニングフォームに関係してくるので、
ダイエットをしても減ることがないとすると、
VO2maxが痩せることでどのように変化するかを見る必要があります。
そこで、70kgで且つVO2max=40ml/kg/minの人を考えてみます。
この人は、1分間で70×40ml/min=2800ml/minの酸素を使用することができます。
これが60kgになった場合でも1分間の酸素使用量が変わらなかったとしましょう。
すると、VO2maxは2800/60=47ml/minと大きくなることが分かります。
O2costを一般人の0.22程度と考えると、
70kg, 40ml/kg/min → Videal = 136m/min 42,195m/136m/min=310min=5時間10分
60kg, 47ml/kg/min → Videal = 160m/min 42,195m/160m/min=263min=4時間24分
と46分間もタイムを縮めることができる計算になります。
要するに酸素摂取量=使用できるエネルギーは変わらず、動かす物体が軽くなるので、当然早くなるわけです。
実際はどうなのか…
実際はダイエットをするとどうしても筋肉が落ちていってしまいます。
自分がプロテインダイエットした際には、72kg→65kg(▲7kg)を達成しました。
しかし、その内2kg(約30%)が筋肉でした。
ここで、先ほどの計算を単純に行うと、
72kg, 40ml/kg/min → Videal = 136m/min 42,195m/136m/min=310min=5時間10分
65kg, 44ml/kg/min → Videal = 151m/min 42,195m/151m/min=279min=4時間39分
と31分短縮できたこととなりますが、
もし除脂肪体重(53.4kg → 51kg)がVO2maxに比例すると仮定し、先ほどの計算をしてみると、
40 ×(72/65) × (51/53.4)=42.3ml/kg/minとなり、
65kg, 42ml/kg/min → Videal = 144m/min 42,195m/144m/min=293min=4時間53分
と17分しか短縮できないことになります。
VO2maxに関係のあるミトコンドリアが同時に鍛えられる前提で有ればこのような現象は起きませんが、
単純計算ではいかないのでは?とは思います。
結論
体重とマラソンのタイムの関係について確認してみたが、
簡易的に計算できるようにしましたので、確認してみてください。↓
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