投資信託を買うときにリターンを見て簡単に複利の計算をすると思いますが、
リスクがどのようにかかわってくるのか正直わからないという人が多数だと思います。
そんな人に向けて今回は簡単な計算をしていきたいと思います。
リスクとは?単純な複利計算は嘘?~エクセルで投資信託の簡易計算
投資信託を買うときに、
・なんとなくリスクがあると怖い。リスクのないものにしたい。
・でもリスクがないものはリターンも低いのが多い…
と悩んだことはありませんか?
今回は、非常に簡単な計算で、リスクについて考えていきたいと思います。
まず、リターンとリスクとは?
すでにご存じかとは思いますが、リターンとリスクの関係からおさらいしましょう。
株価はランダムウォークといわれており、だれにも見通すことができません。
ですが、多くの自然現象と同じで、データを取っていくとある程度下記のような正規分布に従うといわれています。
ここで、リターンとはこの正規分布の平均値μを示し、リスクとは、広がりのσを表します。
また、正規分布のルールとして、μ±1σの間に入る確率は68%、μ±2σに入る確率は95%となっております。
例えば、リターンμ=5%で、リスクσ=5%の商品があったとしたら、
μ±1σ=5%±5% → 0%~10%に入る確率は68%、
μ±2σ=5%±2×5% → -5%~15%に入る確率は95%
というように計算することができます。
リスクの影響を計算しよう
リターン5%の場合
それでは、非常に簡単なエクセルの計算で
「リターン5%で元金100万円で10年間投資したときの影響」を見ながら、
でリスクについて確認していきたいと思います。
リターン5%、リスク0%の場合
リターン5%でリスク0%の場合結果は下記の通りとなります。
リターン5%なので前年度に対して105%をかけていった結果、10年で約1.6倍になる計算になります。
リターン5%、リスク10%
リスク10%で半分の人が+σで半分の人がーσ (68%以内の人がこの範囲にあたります。)
になるように、計算していった結果が下記のとおりです。
①100万円を運用すると、10年間で最高405万円、最低60万円になっていることが分かります。
②しかし、ここで注目してもらいたいのは、黄色のセルの156万円です。
一番確率が高い値がリスク0%の理論計算163万円に対して低くなってしまっています。
リターン5%、リスク20%
次に同様にリスク20%で計算していった結果が下記のとおりです。
①100万円を運用すると、10年間で最高931万円、最低20万円になっていることが分かります。
②また、先ほどの計算と同様に、一番確率の高いのは、黄色のセルの135万円となっております。
また、その下を見ると92万円と元本を割っており、
半数以上の人が一番怖れている元本割れをしてしまう計算になります。
なぜこのようなことが起こるのか?シミュレーションしてみる。
では、先ほどのエクセルの計算で、
コインを投げて、表なら50%資金が増え、裏なら50%資金が減る
ギャンブルのシミュレーションをしていきましょう。
ここで注目していただきたいのは赤枠の1回目、2回目の結果です。
1回目に投げて裏が出た場合、50万円まで落ちますが、
それを挽回するために、2回目を投げて表を出しても75万円までしか戻らないのです。
このように、一度マイナスを出してしまうと戻るためには、それ以上の利率が必要となっており、
リスクが高い場合はその現象が起こりやすく、原点復帰しにくい状態になってしまうことが分かります。
もっと大げさに見ると、よくある、
表が出ると2倍、裏が出たら0の場合は下記のシミュレーションになります。
リスクが高くなればなるほどこのような現象に近づいていくということが分かります。
長期投資にとってリスクは本当に重荷になるか?
このように計算をしてきた結果、
計算上、リスクが高い商品で長期投資したときには億万長者もできるが、
その反面、元本割れの確率も大きくなる。ことが分かりました。
では実際、インデックスの指標になるデータを用いて、確認していきたいと思います。
先進国と新興国の比較
1988年から30年間のMSCIのデータを用いて長期投資について確認していきましょう。
先進国の場合
まず比較的リスクの少ない先進国を見ていきましょう。
日本はバブルの崩壊などなどで下がっているので無視したとして、
リーマンショック(2009年)の時には、全世界(acwi)で前年度比56%までに下落しておりますが、
1989年に比べては上昇しており、 20年間持ち続けた場合マイナスになったことはないことが分かります。
10年間でみるとリーマンショック時に、83%ほどに落ち込んでいますが、
翌年度には109%まで復帰しており、長期投資をすることで元本割れのリスクが少ないことが分かります。
新興国の場合
では次は比較的リスクの高いといわれる新興国を見ていきましょう。
黒色のEMの線を見てください。確かに非常に乱高下が大きく、
リーマンショックの時には前年度比45%まで下落しておりますが、
こちらも同様に20年間では、元本割れをおこしておらず、
10年間でみても、元本割れを起こしていないことが分かります。
よって、リスクはあくまで計算上のことであり、
リスクが大きくても長期投資をすれば着実に上がっていることが分かります。
結論。長期投資においてリスクは大きな敵ではない。
結論、
①リスクがある以上、一度落ち込むと復帰しずらく、
単純な複利計算にはならないことがわかった。
また、計算上リスクが高いと、元本割れを起こしやすいことが分かった。
が、
②実際のデータから、リスクが高いと確かに、乱高下は大きいが、
長期投資であれば、それ以上のリターンを得られることが分かった。
おまけ
③リーマンショックのような大きな不況の場合、
その場で売ると損失が大きいので持ち続けること。
そのためにも、余剰資金を用いて投資をするべきであることが分かった。
結果として、リスクとリターンの関係は計算上の結果であり、
実際に投資する際には、きちんとしたデータを見て、
これから世界がどうなっていくかを考える必要があるようです。
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